障害のある方が地域で安心して暮らすためには、柔軟な支援体制が不可欠です。中でも「短期入所(ショートステイ)」は、介護者の休息や急な事情に対応できる重要なサービスです。しかし、利用にあたっては費用が発生し、経済的な不安を抱える方も少なくありません。本記事では、ショートステイの費用構造と公的助成制度について、事例や制度の詳細を交えて解説します。
ショートステイの基本的な費用構造
サービス料は原則1割負担
ショートステイのサービス料は、障害福祉サービスの一環として提供され、原則として利用者は1割を負担します。障害支援区分に応じて費用は異なり、軽度の方でも区分1以上で利用可能です。
医療型ショートステイの費用
医療的ケアが必要な場合は「医療型短期入所」となり、サービス料の自己負担額は1日あたり1,600~2,700円程度と高額になります。
滞在費の目安
一般的なショートステイでは、1日あたりの滞在費は2,000~3,000円程度。1泊2日であれば4,000~6,000円が目安です。
所得に応じた利用者負担の上限
4つの所得区分
厚生労働省は、利用者の所得に応じて以下の4区分の負担上限月額を設定しています:
– 生活保護世帯:0円
– 市町村民税非課税世帯:0円
– 一般1(所得割16万円未満):9,300円
– 一般2(それ以上):37,200円
高額障害福祉サービス等給付費
世帯での合算額が基準額を超えた場合は、「高額障害福祉サービス等給付費」が支給され、償還払いにより負担が軽減されます。
所得認定の特例
就労による収入のうち、月24,000円までは所得として認定されず、それを超える部分も30%のみが所得として扱われます。
実費負担となる費用の内訳
食事代
食事代は施設ごとに異なり、1食300~400円程度が一般的です。住民税非課税世帯や生活保護世帯でも、食事代は実費負担となります。
水道光熱費
電気代・水道代なども実費負担です。施設によって設定額が異なるため、事前の確認が必要です。
その他の雑費
娯楽費、洗濯代、日用品費なども別途必要です。これらの費用は施設ごとに異なるため、利用前に詳細を確認しましょう。
公的助成制度とその仕組み
補足給付制度
低所得者に対しては、食費・光熱水費の実費負担をしても、少なくとも手元に25,000円が残るように補足給付が行われます。
家賃助成との違い
ショートステイでは、グループホームと異なり家賃(部屋代)の徴収はありません。そのため、家賃助成制度の対象外となります。
地域密着型サービスの制限
原則として、居住する市区町村内の施設を利用する必要があります。地域密着型サービスの一環として、制度が整備されています。
利用時の注意点と今後の課題
キャンセル料の発生
直前のキャンセルでは、食事代の実費相当額がキャンセル料として発生する場合があります。事前に施設の規定を確認しましょう。
利用期間の制限
ショートステイの連続利用は原則30日まで。長期利用を希望する場合は、他の福祉サービスとの併用が必要です。
制度の周知と情報提供
助成制度の内容は複雑であり、利用者や家族が十分に理解できるよう、自治体や施設による丁寧な説明が求められます。
外部信頼リンク
・厚生労働省 障害者の利用者負担: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan1.html
・介護サービス情報公表システム(短期入所生活介護): https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group12.html
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