施設外就労は、障害者が社会の一員として働き、自立を目指すための重要な仕組みです。従来は施設内での軽作業が中心でしたが、現在では企業や地域の職場で働く「施設外就労」が広がりつつあります。しかし、その普及と質の向上にはまだ課題も多く、制度や支援体制の充実が求められています。本記事では、施設外就労の現状と課題、そして今後の展望について考察します。
施設外就労の基本的な仕組み
施設外就労とは何か
施設外就労とは、障害者が福祉サービス事業所に所属しながら、事業所外の企業や公共施設などで働く仕組みです。例えば、清掃、農業、物流、製造など、地域の企業が提供する業務を担うケースが多く見られます。これは「一般就労」とは異なり、福祉事業所の支援員が伴走しながら就労体験を提供する点に特徴があります。
制度的な位置づけ
この仕組みは「障害者総合支援法」に基づいて運営されており、就労継続支援A型・B型事業所の一環として導入されています。A型は雇用契約を結び賃金が発生する形態で、B型は雇用契約を結ばず工賃として支払われる形態です。施設外就労は主にB型で多く導入され、一般就労への移行を目指すステップとしても位置づけられています。
利用者と事業所のメリット
利用者にとっては、地域社会と接する機会が広がり、働く自信やスキルの習得にもつながります。一方、事業所にとっても、企業との連携を深めることで、利用者の多様な就労機会を確保できます。さらに企業側にとっても、地域貢献や人材確保の一助になる点が利点です。
現状と普及の動向
施設外就労の広がり
厚生労働省の調査によると、全国の就労継続支援事業所の約半数が施設外就労を実施しています。特に都市部では企業との連携が進みやすく、多様な業務が展開されています。しかし、地方では受け入れ先が限られているため、分野が清掃や農業などに偏りやすい傾向があります。
工賃・賃金の課題
施設外就労では、利用者に支払われる工賃が低いという課題が依然として残っています。厚生労働省の統計によれば、B型の平均工賃は月額1万5千円程度にとどまっています。B型事業所の利用は一般就労を目指すステップとして重要ではあるものの、経済的自立には不十分な現状があります。
支援員の役割と課題
施設外就労では、現場に同行する支援員の存在が不可欠です。しかし、人材不足や配置時間の制約により、十分なサポートを提供できない場合もあります。特に複数の現場を掛け持ちする場合、支援の質がばらつく課題も指摘されています。
課題と今後の展望
多様な職種の開拓
現状では、施設外就労の職種が限られているため、今後はITやサービス業など幅広い分野での受け入れが期待されています。特にデジタル化が進む現代において、テレワークなどの障害特性に合わせた業務開発が今後の鍵となります。
工賃向上と経済的自立
利用者が安定した生活を営むためには、工賃水準の引き上げも欠かせません。そのためには、行政や企業との連携により、業務単価の見直しや付加価値の高い仕事の提供が必要です。また、事業所の経営基盤を強化することも、工賃向上のために重要です。
企業との持続的パートナーシップ
施設外就労を拡大するには、企業側の理解と協力が不可欠です。CSR(企業の社会的責任)の観点だけでなく、多様な人材活用という経営戦略の一環として捉えることが、持続可能な連携につながります。実際に、自治体や商工会議所が仲介役となり、企業と福祉事業所をつなぐ取り組みも進んでいます。
制度と地域連携の強化
今後は、自治体レベルでの支援体制強化も求められます。例えば、地域障害者職業センターやハローワークとの連携を深めることで、より多様な職場への移行支援が実現します。また、制度面でも工賃向上を目的とした助成制度や新たなガイドライン策定が期待されます。
まとめ
施設外就労は、障害者が地域社会とつながり、自立を目指すための重要な仕組みです。しかし、工賃の低さや職種の偏り、人材不足といった課題も残されています。今後は、企業や自治体との連携を強化し、多様な働き方や職場環境を整えることで、障害者一人ひとりの可能性を最大限に引き出せる社会を目指すことが求められます。
外部信頼リンク
平均工賃(賃金)月額の実績について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40524.html
東京都福祉局の障害者施策(障害者)のページ
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shougai



