障がい福祉サービスとは?—制度の全体像をやさしく解説

障がいのある方が自分らしく暮らしていくためには、生活や就労、移動、医療などさまざまな支援が必要です。そうした支援を制度として提供するのが「障がい福祉サービス」です。日本では、障害者総合支援法や児童福祉法などの法令に基づき、自治体が中心となってサービス提供が行われています。しかし、制度の仕組みはやや複雑で、初めて関わる人にとっては理解しづらい面もあります。この記事では、障がい福祉サービスの基本的な枠組みやサービスの種類、利用の流れについて、厚生労働省や自治体の公開情報に基づいてわかりやすく解説します。

障がい福祉サービスの概要

障がい福祉サービスは、障害のある人が地域社会の中で自立した生活を送るために、必要な支援を公費で提供する仕組みです。主な法的根拠は「障害者総合支援法」で、成人の障害者に対する福祉サービスの基本となっています。

18歳未満の児童に対しては「児童福祉法」に基づき、発達支援や生活支援などが提供されます。いずれも自治体がサービスの窓口となり、対象者の申請に基づいて利用計画が策定されます。

対象者と利用までの流れ

障がい福祉サービスの対象者は、以下のような方々です。

  • 身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳を持っている人
  • 医師の診断等により障害のあると判断された人(手帳がなくても可)

サービス利用までの基本的な流れは次のとおりです

  1. 自治体(市区町村)へ申請
  2. サービス等利用計画の作成(必要に応じて相談支援専門員が関与)
  3. 障害支援区分の認定(1〜6段階)
  4. 支給決定通知
  5. サービス事業所との契約・利用開始

サービスの分類と内容

障がい福祉サービスは、目的や内容に応じて以下の3つに大別されます。

1. 居宅系サービス(生活支援)

自宅での生活を支える支援です。

  • 居宅介護(ホームヘルプ):入浴・排泄・食事などの介助
  • 重度訪問介護:重度の障害がある方への包括的支援
  • 行動援護:行動に著しい困難のある人への支援
  • 同行援護:視覚障害者の移動支援

2. 日中活動・施設系サービス

就労や生活訓練などの支援を通じて、社会参加を促す支援です。

  • 生活介護:常時介護が必要な人の支援施設
  • 就労移行支援:一般就労に向けた訓練
  • 就労継続支援A型・B型:雇用契約の有無に応じた支援
  • 自立訓練(生活・機能):生活能力や身体機能の訓練

3. 相談支援・地域支援サービス

制度利用をサポートする相談窓口です。

  • 計画相談支援:サービス等利用計画の作成
  • 地域移行支援・定着支援:施設や病院から地域生活への移行と定着を支援

児童向けサービスの概要

18歳未満の子どもに対しては、「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」など、発達段階に応じた支援が提供されます。

  • 児童発達支援:未就学児対象の療育
  • 放課後等デイサービス:学齢期の子どもが通う日中支援
  • 保育所等訪問支援:集団生活のサポートを目的とした訪問支援

利用者負担と負担上限

原則、サービス費用の1割が自己負担となりますが、世帯の所得に応じて月ごとの負担上限額が設けられています。これにより、低所得世帯や非課税世帯の負担は大幅に軽減されます。

世帯区分月額負担上限額
生活保護受給世帯0円
市町村民税非課税世帯0円
一般世帯(所得により)9,300〜37,200円

インクルーシブな社会へ向けて

障がい福祉サービスは、単に「支援を受ける制度」ではなく、障がいのある人が自分の選択で生き方を決めていくための手段です。支援者・家族・地域の連携により、誰もが安心して暮らせるインクルーシブな社会の実現が目指されています。

※本記事は、編集時点で当社が保有する過去のデータや独自調査に基づいて構成されているため、最新情報と異なる場合がございます。ご利用にあたっては、各市町村最新の発表他の情報源と照らし合わせたうえでご判断ください。

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