居宅介護って何?自宅で受けられる支援の種類と特徴

居宅介護って何?自宅で受けられる支援の種類と特徴

障害のある方が住み慣れた自宅で安心して生活を続けるためには、適切な支援が欠かせません。そんな支援のひとつが「居宅介護」です。居宅介護は、障害者総合支援法に基づく制度で、身体介護や家事援助、外出時の付き添いなど、日常生活全般にわたる支援を提供します。本記事では、居宅介護の基本情報や制度の仕組み、支援の種類と特徴、そして地域での取り組み事例までをわかりやすく紹介します。

居宅介護とは?制度の基本情報

居宅介護の定義と目的

居宅介護とは、障害のある方が自宅で自立した生活を送るために、ホームヘルパーが訪問して支援を行う制度です。障害者総合支援法に基づく「介護給付」の一つであり、施設に入所せず地域で生活を続けたい方にとって重要な支援です。

対象者と利用条件

居宅介護を利用できるのは、原則として「障害支援区分1以上」と認定された方です。通院等介助など一部のサービスでは、区分2以上かつ特定の支援が必要と認定されることが条件となります。障害を持つ人や要介護認定を受けた高齢者が対象で、特に障害者総合支援法に基づくため、18歳未満の子供でも利用可能です。要介護者は、介護度に応じてサービスを受けることができます。

「障害支援区分」とは、障害のある方が必要とする支援の度合いを示す公的な指標で、区分は「非該当」から「区分1」(軽度)~「区分6」(最重度)までの6段階に分かれています。

利用までの流れ

  • 市区町村の障害福祉窓口に相談

まずは地域の相談支援事業所や市町村の障害福祉窓口に相談します。ここでサービスの概要や申請方法について説明を受けます。

  • 支給申請書の提出

市町村に対して、居宅介護サービスの利用申請を行います。申請には本人確認書類や障害者手帳が必要です。

  • 認定調査の実施

市町村職員が訪問し、本人の心身の状況や生活環境について106項目のアセスメントを実施します。これにより障害支援区分の一次判定が行われます。

  • 審査会による支援区分の判定

一次判定の結果をもとに、医師の意見などを加味して、市町村の審査会が障害支援区分を認定します。区分が高いほど支援の必要度が高いとされます。

  • 受給者証の交付

認定された障害支援区分や生活状況、利用意向などを総合的に勘案し市町村が支給決定を行います。必要に応じて審査会の意見を再度聴取することもあります。

  • サービス等利用計画の作成

市町村から、サービス等利用計画案の作成依頼が出されます。これは指定特定相談支援事業者が本人や家族と面談しながら作成します。

  • 居宅介護事業所との契約

支給決定後、正式なサービス等の利用計画を作成します。これは実際にサービスを提供する事業者との調整を含みます。

  • サービス開始

計画に基づいて、居宅介護サービスの利用が開始されます。利用者は身体介護や家事援助などの支援を受けながら、自宅での生活を継続します。

通常、申請から開始までに1〜2ヶ月程度かかりますが、緊急の場合は迅速な対応も可能です。

注意点   

・障害支援区分の認定は、居宅介護の利用において非常に重要で、区分1以上が必要条件となります。

・通院等乗降介助など一部のサービスは、区分2以上が必要です。

・サービス等利用計画案は、専門の相談支援事業者が作成するため、早めの相談が推奨されます。

自宅で受けられる支援の種類

身体介護

入浴、排せつ、食事、衣服の着脱、体位変換など、日常生活の基本動作を支援します。利用者の身体状況に応じて、必要な介助が提供されます。

家事援助

調理、洗濯、掃除、買い物など、生活に必要な家事を支援します。身体介護と組み合わせて利用することも可能です。

通院等介助

病院への付き添いや移動の支援を行います。通院等乗降介助では、自動車の乗り降りや病院内での付き添いも含まれます。

相談・助言

生活に関する悩みや不安に対して、相談対応や情報提供を行います。利用者の安心感を高める重要な支援です。

ケアプランの作成

ケアマネジャーが利用者の状態に合わせた介護計画を立て、サービスを調整します。

支援を提供する人と事業所の特徴

サービス提供者の資格

居宅介護サービスは、以下の資格を持つホームヘルパーが提供します。
– 介護福祉士
– 実務者研修修了者
– 初任者研修修了者
– 重度訪問介護従業者養成研修修了者

専門的な知識と技術に加え、利用者の個性や生活スタイルを尊重する姿勢が求められます。

事業所選びのポイント

・提供サービスの範囲

居宅介護では、身体介護(排泄・入浴・食事・更衣・服薬・移乗・起床・就寝など)、家事援助(調理・洗濯・掃除・買い物・代筆・育児支援など)、通院等介助、通院等乗降介助、相談援助などが提供されます。事業所によっては、介護保険では対応しないサービスも含まれる場合があるため、自分のニーズに合ったサービスがあるかを確認することが重要です

・対応可能な時間帯

事業所によって対応可能な時間帯は異なります。早朝・夜間・休日対応の可否、緊急時の訪問体制、訪問頻度の柔軟な調整が可能か確認しましょう。特に夜間や休日に支援が必要な場合は24時間対応可能な事業所を選ぶことが重要です。

・スタッフの専門性

スタッフの資格や経験はサービスの質に直結します。介護福祉士、社会福祉士、看護師などの資格保有者がいるか、障害特性に応じた専門知識(知的障害、精神障害、発達障害など)をもつスタッフがいるか、継続的な研修制度が整っているかを確認しましょう。

・緊急時の対応力

緊急時の対応体制は安心してサービスを受けるために不可欠です。緊急連絡先の明示、医療機関との連携体制、夜間・休日の緊急訪問対応など、事前に対応マニュアルや体制を確認しておくと安心です。

・相談体制

相談しやすい環境が整っているかも重要なポイントです。相談窓口の設置、ケアマネジャーやサービス管理責任者との定期的な面談、家族との連携体制があるかを確認しましょう。利用者本人だけでなく、家族も安心して相談できる体制があることが望ましいです

・料金体系
居宅介護は原則として障害福祉サービス受給者証に基づき、公費負担(1割自己負担)で利用できますが、加算サービスの有無(緊急対応加算、特別地域加算など)、交通費や特別支援の追加料金、契約内容の明確さ(契約書・重要事項説明書)など、料金体系が明確で追加費用の発生条件が説明されている事業所を選びましょう。
複数の事業所を比較し、見学や体験利用を通じて、自分に合った事業所を選ぶことが大切です。

地域での取り組みと制度の課題

地域包括ケアシステムとの連携

厚生労働省は、地域包括ケアシステムの構築を推進しており、居宅介護もその一環として位置づけられています。医療・介護・生活支援が一体となった体制づくりが進められています。

地方自治体の事例

例えば、宮城県では地域の実情に応じた居宅介護支援事業所の運営が行われています。制度改正により管理者の資格要件が厳しくなったことで、事業所の継続が困難になるケースもあり、柔軟な対応が求められています。

制度の課題と改善

介護保険制度や障害福祉制度は、利用者のニーズに応じて改正が繰り返されています。2023年の改正では、全世代対応型の社会保障制度の構築が目指され、持続可能な制度運営が課題となっています。

関連リンク(外部信頼情報)

・厚生労働省|介護保険制度の概要
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html

・厚生労働省|障害福祉サービスの概要

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html

・厚生労働省|地域包括ケアシステム事例集
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/chiiki-houkatsu/

注意事項

※本記事の内容は、厚生労働省などの公式情報をもとに執筆しています。無断転載はご遠慮ください。

※特定の団体・個人への批判的な表現は含まれておりません。

※本記事は、編集時点で当社が保有する過去のデータや独自調査に基づいて構成されているため、最新情報と異なる場合がございます。ご利用にあたっては、各市町村最新の発表他の情報源と照らし合わせたうえでご判断ください。

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