障害を持つ方々が社会の中で働き、自信を取り戻すための制度「施設外就労」。これは福祉施設の外で実際の職場に近い環境で働くことで、実践的なスキルや社会性を身につける取り組みです。本記事では、千葉県の就労継続支援A型事業所「Tetoria白井」における実話をもとに、施設外就労が障害者に与える心理的・社会的な影響を紹介します。制度の概要や課題、地域の取り組みも交えながら、障害福祉の可能性について考えていきます。
施設外就労の制度と目的
制度の概要と背景
施設外就労とは、就労継続支援事業所(A型・B型)の利用者が、福祉施設の外部の企業や団体で働く制度です。障害者総合支援法に基づき、実際の職場環境で働くことで、利用者の社会参加や自立を促進することを目的としています。企業と事業所が契約を結び、利用者が企業の現場で業務を行う形態が一般的です。
詳細は厚生労働省の制度概要資料をご参照ください。
A型・B型の違いと対象者
A型は雇用契約を結び、最低賃金が保証される制度です。B型は雇用契約を結ばず、作業に応じた工賃が支払われます。施設外就労はどちらの型でも可能ですが、A型の方がより安定した収入が得られるため、一般就労への移行を目指す方に適しています。対象は身体・知的・精神障害を持つ方で、特に精神障害者の社会復帰支援において重要な役割を果たしています。
幼稚園で自信を取り戻した青年の実話
Tetoria白井の施設外就労事例
千葉県八千代市にある幼稚園で、就労継続支援A型事業所「Tetoria白井」の利用者が施設外就労を経験しました。この取り組みは、事業所の管理者が以前児童発達支援事業所で関わっていた園との信頼関係を活かし、施設外就労契約を結んだことから始まりました。
利用者の変化と成長
自閉傾向が強く、コミュニケーションが苦手だった利用者は、当初は園での業務に不安を抱えていました。しかし、園長先生の理解ある対応と支援員の継続的なフォローにより、徐々に園児との関わりを楽しめるようになりました。卒園式では、園児たちのサポート役として活躍し、笑顔で式を見守る姿が印象的だったと報告されています。
社会とのつながりを実感
この経験を通じて、利用者は「働くことが楽しい」と語るようになり、以前の閉じこもった生活からは想像できないほどの変化を遂げました。施設外就労が、障害者にとって社会との接点となり、自信を取り戻すきっかけとなった実例です。
詳細はTetoria白井の公式記録をご覧ください。
制度の課題と改善への取り組み
企業側の理解と受け入れ体制
施設外就労の普及には、企業側の理解と協力が不可欠です。しかし、障害者雇用に対する知識不足や偏見が障壁となることもあります。特に中小企業では、受け入れ体制の整備が難しいケースもあり、制度の活用が進まない現状があります。
支援員の役割と人材不足
事業所の支援員は、利用者の能力や体調を把握し、企業との調整を行う重要な役割を担っています。しかし、支援員の人手不足や業務負担が課題となっており、質の高い支援を継続するためには、体制の強化が求められます。
工賃の向上と就労移行支援
施設外就労によって得られる工賃(報酬)は、一般就労に比べて低い傾向があります。利用者のモチベーション維持や生活の安定のためには、工賃の引き上げや就労移行支援の充実が必要です。厚生労働省では、こうした課題に対応するための調査研究を進めています。
地域と連携した支援の広がり
農福連携による就労支援
三重県では、農業と福祉を結びつけた「農福連携」の取り組みが進められています。障害者が農作業を通じて働くことで、自然とのふれあいや身体活動を通じたリハビリ効果も期待されています。地域の農家と福祉施設が連携し、安定した就労環境を提供しています。
自治体の支援策と情報提供
地方自治体では、施設外就労を推進するための補助金制度や企業向けセミナーを開催しています。東京都では、障害者雇用に関する情報提供やマッチング支援を行う「障害者就業支援センター」が設置されており、企業と福祉施設の橋渡し役を担っています。
外部信頼リンク
- 障害福祉サービスの内容 |厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html
- 障害福祉に関する制度沿革・概要|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000675281.pdf
※本記事の無断転載を禁じます。
※本記事は特定の団体・個人を批判する意図はありません。
※専門用語は可能な限りわかりやすく説明していますが、詳細は厚生労働省などの公式情報をご参照ください




